失敗しない経営術 12カ条

12 PRINCIPLES

人脈も資金も商品もない、従業員20名たらずの会社。
それでもブリヂストン、大和ハウス、パナソニックといった大手企業に入り込み、42年間で約200社・2,000テーマの提案を続けてこられました。

精神論ではありません。誰にでも再現できる、原理原則としての12カ条です。

01

お客様を信じて、とことん好きになる努力をしましょう。

「この人の役に立ちたい」と本気で思うこと。自分を正直に表現し、相手の話を聞くこと。駆け引きをせず素直に向き合えば、相手は少しずつ心を開いてくれます。心を開いてもらえれば課題が見え、提案がしやすくなり、結果として仕事につながります。たとえその場でうまくいかなくても、努力は経験として自分に残り、必ず次につながります。

02

お客様が喜ぶ企画やサービスを提案しましょう。

相手が予算を持っているかを先に考えないこと。まず喜んでもらうことを考える。魅力のある提案なら、お金は後からついてきます。魅力ある提案の材料は、相手の課題とニーズの中にあります。信頼関係があるなら直接聞けばいい。なければ業界の動向や四季報、有価証券報告書、SNSから調べられます。

事例:大建工業のショールームを秋葉原に開設したものの、設計事務所や工務店が集まらない。そこで毎月1回、来場者が関心を持つセミナー企画を提案しました。幼稚園を運営する社会福祉法人の園長を招き、園舎の設計とデザインをテーマに開催。70名ほどが集まり、セミナー後にショールームをご案内する流れをつくりました。売り手よし、買い手よし、世間よしの三方よしの発想です。

03

常に新しい事業や、将来の夢を考えましょう。

利益が出ていても既存事業に甘んじてはいけません。事業には導入期、成長期、安定期、成熟期、衰退期が必ず訪れます。もうひとつ大事なのは、会社が夢を持ってチャレンジしている姿を社員に見せること。わくわくしない会社に成長はありませんし、社員も育ちません。会社には必ず強みがあります。社長自身にも必ず強みがあります。それを俯瞰して見ることです。

事例:断熱材メーカーで経営資源の棚卸しを実施。技術、販売ルート、社員のスキル、過去の開発品、取引先を並べ直したところ、断熱材診断サービスという新事業が見えてきました。

04

事業計画書も大切ですが、哲学と目標を持ちましょう。

立派な計画書を作っても、実行するには社員の協力と社長の行動力が要ります。そして日々の現場は計画通りには進みません。そのときに必要なのが、ぶれない哲学です。迷ったときに立ち返る信念と価値観。企業の使命、存在意義、目指す未来、行動指針を言葉にしておくことです。

事例:ダイソーは「お客様を喜ばせること」。創業者が事業の失敗から得た「お客様に飽きられたら終わり」が原点にあります。大和ハウスは「世の中の役に立つからやる」。創業者の信念がそのまま企業の判断基準になっています。

05

仕事は平準化できるよう工夫しましょう。

デザイン、ホームページ制作、映像制作、市場調査、コンサルティング、設計。人が作業する仕事は、担当者の能力で内容も日数も費用も変わります。これでは売上も利益も管理できません。制作内容をパターン化し、活動日数と費用も同様に整えること。営業もしやすくなりますが、一番の効果はお客様にとって分かりやすくなることです。

事例:当社でも調査活動の見積もりを都度作るのが煩雑だったため、企業編・市場編として定額でパターン化しました。費用が見えやすくなり、受注が増えました。

06

ワンソース・マルチユースで考えましょう。

ある企業から受注した仕事の内容は、他の企業への提案のヒントになります。受注した内容をそのまま流用するのは契約違反ですが、そこで得た知識をもとに提案するのは違反ではありません。「この人は業界に詳しい」と思ってもらえれば、次の仕事につながります。知識は財産です。ただし外に出さなければ知識として定着しません。

事例:ある業界最大手で得た発想を、同業他社へ。この経験から業界ナンバーワン戦略調査シリーズを企画し、成功させました。自社では住友ベークライトのワンソースを全国建築計画物件情報としてネット配信し、会員300社を獲得しています。

07

情報発信の企画を、常に考え提案しましょう。

得た知識と経験は広く伝えること。メルマガ、SNS、YouTube。今は誰でも容易に発信できます。ただし何を誰に発信するのか目的を決めること。テーマに一貫性がないと効果は出ません。会社として発信するのか個人として発信するのかも決める。成長している会社であることを、素晴らしい会社であることを伝えるのです。

事例:断熱材メーカーの断熱情報誌を月1回発刊。断熱基準、断熱リフォーム、業者紹介などを掲載し、工事業者・販売店・設計事務所へ配布しました。住宅設備機器の総合商社でも同様のレポートを企画し、リフォーム店・工務店へ届けています。

08

社長はタレントになりましょう。

明るく元気で、輝いている人。タレントなら会いたくなるでしょう。なぜか。元気をもらえるから、わくわくするから、夢を与えてくれるから。暗い人から物を買いたいとは思いません。清潔感のある服装は最低条件として、では何がその人を輝かせるのか。企業哲学、企業目標、企業戦略を明確に持っていることです。持っていれば自信になり、それは必ず表に出ます。

09

お客様の無理難題を聞き入れて、提案しましょう。

無理難題を言ってくるのは、担当者を試しているか、何とかしてくれると信じているか、取引をやめたいかのどれかです。難しいと言えば、NOと言えば、そこで話は終わります。YESと言うから、応えるために考える。この「考える」が大切です。考えることがチャンスになり、そのチャンスが新しい事業や商売の種になります。自分自身の成長にもなります。

事例:ゴルフボールメーカーの工場視察を企画したところから、社内に海外視察室を立ち上げました。全米住宅展示会、ヨーロッパの建築建材展など、無理難題への対応が新しい事業になった例です。

10

提案書や見積書に、夢を与えましょう。

見積書は単なる数字です。数字だけでは値引きさせられて終わります。お客様が仕事を発注するのは、会社の発展や事業の改善を考えているから。だから発注の目的を確認し、その目的をどれだけ満たせるかを示すこと。機械を導入するお客様は、機械を買っているのではなく生産効率を上げる時間を買っています。効率が上がれば残業が減り、社員の時間が増える。そこまで書けるかどうかです。

事例:大和ハウスの住宅事業部では、ご主人が釣り好きというヒアリングから収納の提案へ。リフォームではキッチンからリビング、ピアノ室まで、生活スタイルそのものをご提案しました。

11

他社に負けない強みを持ちましょう。

参入企業が乱立する市場に強みなく入れば、価格競争に巻き込まれて勝ち目はありません。強みを知るには、会社と社長自身を俯瞰して見ること。経営資源、つまり技術、販売店、ルート、社員、取引先を棚卸ししてみる。強みのない会社はありません。なければ作りましょう。

事例:当社は建設分野の市場調査・マーケティングにターゲットを絞り、その分野のオンリーワン企業になりました。北海道の雄武町では、ルチンが普通のそばの100倍という韃靼そばに絞り込み、中高年から高齢者をターゲットに業界ナンバーワンへ育てました。

12

情報に敏感になりましょう。

自社の業界情報、競合の情報、顧客の情報。3Cにアンテナを張ること。自分の業界だけでなく、他の業界の情報も知ること。情報を知らなければ市場の変化に対応できず、生き残れません。BtoBの会社こそ、消費者に関する情報誌を見てください。トレンドが分かります。

大企業に入り込み、提案を続けられた理由は、突き詰めればひとつです。
お客様の役に立ちたいという気持ちが強かった。そして社員を守りたかった。会社を発展させたかった。家族を守りたかった。

夢・希望・歓喜。
人間には無限の可能性がある。

伊藤コンサルタントオフィス 代表 伊藤 敏郎

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12カ条を、事例を交えて解説しています。